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ストレスと身体の関係

「メンタルがやられる(強いストレス・不安・抑うつ状態など)」とき、体内では脳とホルモン・免疫系が連動して、実際にさまざまな化学物質が分泌・変化します。
以下、発生する主な物質を系統別に細かく整理して解説します。

🧠 1. 脳内で増える・変化する神経伝達物質
● コルチゾール(Cortisol)

分泌元: 副腎皮質

働き: ストレスホルモン。血糖値を上げ、炎症を抑え、エネルギーを動員する。

過剰になると: 免疫抑制・筋肉分解・皮膚老化・脳の萎縮(特に海馬)・慢性疲労・不眠を引き起こす。

● アドレナリン(Adrenaline)/ノルアドレナリン(Noradrenaline)

分泌元: 副腎髄質(および脳幹・青斑核)

働き: 「闘うか逃げるか」反応。心拍数・血圧上昇、瞳孔拡大、筋肉への血流増加。

過剰になると: 動悸、手足の冷え、消化不良、首肩こり、慢性緊張。

減少すると: 無気力・集中力低下・血圧低下。

● セロトニン(Serotonin)

主な合成部位: 脳幹縫線核・腸管粘膜

働き: 安定・安心の神経伝達物質。睡眠、痛みの抑制、腸運動にも関与。

ストレス下では: 合成・放出が低下 → 抑うつ・不安・睡眠障害・腸の不調(過敏性腸症候群など)。

● ドーパミン(Dopamine)

分泌元: 中脳(黒質・腹側被蓋野)

働き: やる気・快楽・学習意欲を司る。

ストレスで: 慢性的に低下 → 興味喪失、無気力、うつ状態。

一方で短期的ストレスでは一時的に上昇する(「頑張りすぎ」状態)。

● GABA(γ-アミノ酪酸)

抑制系神経伝達物質。

精神を落ち着かせる。慢性的ストレスや睡眠不足で減少し、不安や緊張が高まる。
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🧬 2. 内分泌・ホルモン系の変化
ホルモン    変化    主な影響
コルチゾール    上昇    免疫抑制、糖代謝異常、肥満
アドレナリン/ノルアドレナリン    上昇    交感神経緊張、血圧上昇
インスリン    変動    低血糖→イライラ、過食
性ホルモン(エストロゲン・テストステロン)    減少    更年期症状悪化、性欲減退、筋力低下
メラトニン    減少    睡眠障害、不眠
オキシトシン    減少    愛着・安心感の低下、人間関係のストレス増大
🧫 3. 免疫系・炎症系で増える物質
● サイトカイン類(炎症性物質)

ストレスが長引くと免疫細胞が過剰反応して、**「炎症性サイトカイン」**が増加します。

物質名    主な影響
IL-1β(インターロイキン1β)    発熱・倦怠感・気分低下
IL-6    慢性炎症・動脈硬化促進・抑うつ状態との関連
TNF-α(腫瘍壊死因子α)    組織破壊・慢性疲労・関節痛
CRP(C反応性蛋白)    炎症マーカーとして上昇

➡ 特にIL-6 と TNF-αの上昇は「うつ病のバイオマーカー」とも言われています。

💧 4. 消化・代謝系への影響

胃酸過多(ガストリン上昇)→ 胃痛・胸やけ

消化酵素分泌低下 → 栄養吸収不良

腸内細菌バランス崩壊(悪玉菌優勢)→ 腸内毒素(LPS)が血中へ
 → 免疫炎症反応・脳の炎症(“leaky gut - leaky brain”)

💓 5. 総合的な流れ(ストレス反応の連鎖)

1️⃣ 心理的ストレス → 視床下部(H)でCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)分泌
2️⃣ 下垂体(P)でACTH(副腎皮質刺激ホルモン)分泌
3️⃣ 副腎皮質(A)からコルチゾール分泌 → HPA軸活性化
4️⃣ 同時に交感神経が活性化 → アドレナリン分泌
5️⃣ 長期化するとセロトニン・ドーパミン低下、サイトカイン上昇 → 免疫低下・炎症性うつへ

これを「HPA軸ストレス反応系の破綻」と呼びます。

回復方向に働く物質

ストレス緩和・回復に関与する主な物質も覚えておくと良いです。

物質    主な作用
セロトニン    安定感・リズム回復
オキシトシン    安心・信頼・愛着
エンドルフィン    快楽・鎮痛・多幸感
GABA    不安抑制・リラックス
メラトニン    睡眠促進・抗酸化

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1. 結論:リンパの流れを促すことは「ストレス物質の代謝・排出」に間接的に大きく関与します

ストレスで増える物質の中には、

ホルモン(コルチゾール、アドレナリンなど)

炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)

酸化ストレス物質(活性酸素)

細胞代謝の老廃物(乳酸、尿素、アンモニアなど)

といった「水溶性の分子」や「炎症関連タンパク質」が多く含まれます。
これらの多くは、毛細リンパ管 → リンパ節 → 胸管 → 静脈角 → 血流 → 肝臓・腎臓 → 排泄という経路で処理されます。

つまり、
➡ リンパが滞ると、これらの物質が間質にとどまり炎症・疲労・倦怠感を悪化させる
➡ リンパを流すことで、肝臓・腎臓の代謝経路にスムーズに乗り、結果的に体外排出が促される
という関係になります。

💧 2. リンパ系が果たす「ストレス物質の回収・解毒」メカニズム
● (1) 毛細リンパ管

ストレスにより血管透過性が高まると、血漿タンパク・サイトカインなどが間質に漏れます。
リンパ毛細管はその**「過剰な間質液や炎症性物質の回収口」**となります。

● (2) リンパ節

リンパ節内ではマクロファージや樹状細胞が働き、細胞の残骸やサイトカインを分解・再処理します。
免疫調整の要でもあり、ストレス下での炎症制御の中心です。

● (3) 胸管~静脈角

リンパ液が静脈系に戻ることで、最終的に肝臓・腎臓へ運ばれ、**代謝・排泄(胆汁・尿)**という出口につながります。

⚖️ 3. ただし「直接的にストレスホルモンを洗い流す」というわけではない

コルチゾールやアドレナリンなどのホルモンは血中で代謝されるため、リンパそのものがそれを“直接排出”するわけではありません。

しかし、ホルモン過剰で起こった組織炎症・代謝老廃物・サイトカインの処理はリンパ系の重要な役割です。

特に副腎・腸間膜・胸管・頸部リンパの流れを整えると、HPA軸(ストレス反応系)への反射が和らぎ、自律神経が安定します。

🌿 4. 実際の臨床的メリット(オステオパシー・リンパ施術の観点)
作用    臨床で期待できる変化
頸部・胸郭リンパ排液    自律神経バランス改善・睡眠の質向上
横隔膜・腹腔リンパ    消化機能改善・副腎負担軽減
腸間膜・肝リンパ    デトックス促進・倦怠感軽減
下肢リンパ    筋肉疲労物質(乳酸等)排出・冷え改善
🧠 5. 心身の統合的回復ルート(模式的まとめ)

ストレス → HPA軸過活動 → 炎症性サイトカイン増加 → 間質浮腫・代謝滞留 → リンパ施術 → 排出・自律神経安定 → ホルモンバランス正常化

つまり、
リンパを流すことは「ストレスの結果生じた化学的負荷を減らす」ことにより、
心身両面の回復を助ける自然なデトックス経路です。

「ストレスが全くない=完全な平穏状態」というのは理想に見えますが、実は生理学的にはそれもまた“不健康”になり得るのです。
ここでは、「適度なストレスがない場合に体に起こる弊害」を、脳・ホルモン・免疫・精神・筋骨格など各レベルで詳しく解説します。

🧠 1. 脳のレベル:刺激不足による神経活動の低下
● 海馬・前頭前野の活動低下

ストレスが全くない状態では、コルチゾール分泌が極端に少なくなる。

コルチゾールは悪者扱いされがちですが、実は適度に存在することで記憶形成・集中・学習を支えています。

完全に欠乏すると、意欲の低下・判断力の鈍化・記憶力の低下が起こりやすくなります。

● ドーパミン系の低下

達成感や「やる気ホルモン」であるドーパミンは、目標や適度な緊張がないと分泌されません。

つまり「全くストレスがない=挑戦も刺激もない」状態では、
 → 無気力、慢性倦怠、感情の平坦化、快感の欠如(アナンドニア)が起こりやすくなります。

💧 2. ホルモン・自律神経のバランスの乱れ
系統    弊害    メカニズム
HPA軸(視床下部-下垂体-副腎)    コルチゾール低下 → 慢性低血糖・副腎機能低下    適度なストレスで保たれるホルモン調節機構が休眠する
交感神経系    血圧・代謝の低下 → 倦怠感・集中力低下    “闘うか逃げるか”反応が適度に働かない
副交感神経優位の過剰化    常にリラックス状態 → 胃酸過多・低血圧・抑うつ傾向    バランスが崩れ“過剰な安静”状態になる
🧫 3. 免疫系への影響:防衛反応の鈍化

免疫系はストレスに反応して「一時的に活性化→沈静化」を繰り返すことで、学習的に強くなります。

刺激がまったくないと、リンパ球やマクロファージの応答力が低下。

外界刺激への「免疫トレーニング」が失われ、感染症・腫瘍細胞に対する感知能力の低下が起こります。

実際、長期的にストレス刺激がなさすぎる動物は寿命が短くなる研究もあります(ホルミシス効果)。

💪 4. 筋骨格系・循環系:活動性の低下による代謝停滞

適度な緊張や運動ストレスがないと、
 → 筋収縮刺激が減り、リンパ流や血流が低下
 → 慢性的なむくみ・冷え・倦怠感

骨への機械的負荷が少なくなることで、骨密度低下(骨粗しょう症リスク)

長期的には「低代謝症候群」「サルコペニア(筋萎縮)」につながります。

🩸 5. 精神・社会的側面

適度なストレスは目的意識・社会的つながり・達成感を生む原動力です。

完全にストレスがない環境では、
 → 目的喪失感、無気力、うつ傾向、時間感覚の鈍化。

特に高齢者や退職後の人が急に何もすることがなくなり、
 → 認知機能の低下や生活リズムの崩壊を起こすのは典型的例です。

🌿 6. 適度なストレス(ユーストレス)の重要性

ストレスには「悪い(ディストレス)」と「良い(ユーストレス)」があります。

ユーストレス(適度な挑戦・緊張・社会的刺激)は、
 → 神経成長因子(BDNF)を増やし、脳可塑性を高め、免疫力を維持します。

よって**「ゼロストレス」は理想ではなく、適度なストレス循環こそが生命の恒常性(ホメオスタシス)を保つ**のです。

🩺 まとめ:
分野      適度なストレスがないと起こること
脳       ドーパミン・コルチゾール低下 → 無気力・記憶力低下
自律神経    過剰な副交感優位 → 倦怠感・消化不良
免疫      応答力低下 → 感染・腫瘍リスク上昇
筋骨格     筋力・代謝低下 → サルコペニア・冷え
精神      意欲喪失・社会的孤立・抑うつ

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