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100年先も、徒手療法は必要とされるかAIと医療構造の変化から考える

  • 4月25日
  • 読了時間: 6分

Vol.3 ASIの時代、徒手療法は残るか

── 100年後の医療構造の変化と、円命堂が積み上げてきたもの ──





Vol.1では、10年後にロボットが家庭に入ってきても、評価軸を立てる認識は自動化の外側にあることを見てきました。


Vol.2では、現代医療がWHOの構造的問題や製薬ビジネスの論理によって「検査正常なのに辛い人」を生み出している設計を確認しました。


Vol.3では、その先——AIがAGI(汎用人工知能)、そしてASI(人工超知能)へと進化する100年後の世界を、できる限り具体的に想像します。


その時代に、徒手療法はどのような位置づけになるのか。

そして円命堂は、どんな役割を果たしている可能性があるのか。


AIがAGI・ASIへ進化するとき、医療に何が起きるか

AGIの実現により、診断精度は人間の専門家を大きく超える可能性があります。 遺伝子情報、リアルタイム血流データ、自律神経の波形、生活習慣の全ログを瞬時に統合解析し、「3年後に腰椎ヘルニアになる確率が68%」といった個別予測が、毎日のようにスマートデバイスに届く時代が想像されます。


さらにASIが登場すれば、製薬企業が長年独占してきた膨大な有効性データは、大規模シミュレーションによって代替される可能性が高まります。


WHOが担ってきた中央集権的な感染症管理や疾患定義の権限も、分散型AIネットワークへと移行していくかもしれません。


Vol.2で触れた「WHO・製薬マネーの構造問題」は、AIによる情報の民主化によって、ゆっくりと、しかし確実に解体されていく可能性があります。


これは医療の民主化であると同時に、現在の医療ビジネスモデルの大きな転換点になるでしょう。

100年後の医療は、今とはまったく異なる風景を描いているかもしれません。


それでも不調は消えない

「健康難民」の逆説

では、ASIが医療の中心となった世界で、慢性的な不調はなくなっているでしょうか。

むしろ、診断精度が上がるほど、グレーゾーンはより鮮明に浮かび上がる可能性があります。


ASIが「全指標正常」と判定したにもかかわらず、毎朝起き上がるのもつらいほどの疲弊感を抱えている人がいたとします。 その状態をどう捉え、どう扱うかという専門性の需要は、消えるどころか高まっていくかもしれません。


現在は「なんとなく不調」として曖昧にやり過ごされていた領域が、100年後には「ASIでも対処しきれない問題」として、はっきりと輪郭を持つようになる可能性があります。


「医療は進歩しているのに、不調を感じる人が増える」。 この逆説の中に、徒手療法が100年後も必要とされ続ける一つの理由が隠れているように思えます。


テクノロジーが生む、新しい不調の形


100年後の不調は、現在のものとは少し違う姿をしているかもしれません。

たとえば、常時接続型のニューラルインターフェース(脳とコンピューターを直接つなぐデバイス)が普及した世界を想像してみてください。


朝起きた瞬間から脳幹〜横隔膜にかけての自律調節回路が、24時間365日、膨大な情報処理の負荷にさらされます。


今のスマートフォンが引き起こしている「浅い呼吸・顎の緊張・首のこわばり」が、数段階強く、かつ持続的に現れる可能性があります。


また、AIが食事・運動・睡眠を完璧に最適化してくれる時代になると、逆に「最適解から1%でも外れることへの恐怖」が、身体に慢性的な緊張を生むかもしれません。


身体は本来、揺らぎの中で調整し、回復するものです。 完璧に管理された生活の中で、その「揺らぎへの耐性」が少しずつ失われていく——そんな新しい不調の形が、静かに広がる可能性があります。


テクノロジーが進めば進むほど、「一度接続を切り、身体をリセットする」ための、専門的で丁寧な時間と空間への需要は、かえって高まっていくかもしれません。


100年後に消えるものと、残るもの

100年後の医療で「役割を終える可能性が高いもの」の多くは、Vol.2で見た現代医療の構造問題そのものです。


AIの進化は、皮肉にも現行システムの限界を、より明確に浮かび上がらせるでしょう。

一方で「価値が相対的に高まる可能性があるもの」は、徒手療法が長年大切にしてきた領域と重なる部分が大きいように感じます。


円命堂は100年後、何をしているか


正直に言います。 100年後も、円命堂が誰かに引き継がれ、同じ形で存在しているかどうかはわかりません。


ただ、もしこの仕事が何らかの形で続いているとしたら、それは院がこれまで積み上げてきた「記録」と「問い」の価値が、100年後に向かってむしろ高まっているからだと考えています。


100年分の臨床記録という資産

「検査正常・機能不全」という状態を、長年にわたって丁寧に評価・記録し続けてきた施設は、世界的に見てもほとんど存在しません。


AGIが医療の情報構造を根本から変えるとき、 「これは何十年も前から臨床現場で繰り返し観察されていた」という、現場発の文脈を持ったデータは、後から簡単に作れるものではありません。


現在のブログ記事、PEAK MANAGERに蓄積される施術記録、そして何より「評価視点の言語化」。 今ここで書いている一つひとつの記録が、100年後の「先行事例の一次資料」になる可能性を、ひそかに持っているのかもしれません。


今日の記録の質が、未来の価値を決める——そう思っています。


「測れないものを、測れる評価軸で捉える」技術

AIがどれほど精緻になっても、円命堂がずっと問い続けてきた本質は変わらないでしょう。


「身体はなぜ今、この反応を示しているのか」


症状は、身体がこれまで受けてきた累積した入力の、結果として現れます。 その反応を丁寧に読み取り、何が止まっているのかを見極め、自己修復のスイッチが入る条件を整える。


この作業は、単に検査値を正常化することとは、根本的に異なる問いです。

100年後、世界がようやくこの問いに追いついてきたとき、 円命堂の記録は、「ずっと前から、この問いを実装していた証拠」として、静かにそこに在るかもしれません。


シリーズを通じて


直感の正体


Vol.1から振り返ると、最初にあったのは次のような直感でした。

「AIが進化しても、ロボットが普及しても、整体ってなくならないと思うんですよね。なんとなく。」


この「なんとなく」の正体は、実は3つのことを身体で知っているからだと考えています。


一つ目。ロボットは、自分で評価軸を立てることができない。

二つ目。現在の医療システムは、機能不全のグレーゾーンを構造的に扱いきれない。

三つ目。ASIの時代になっても、「身体の機能そのものを変える介入」への需要は残り続ける可能性がある。


長年通ってくださっている方は、この3つを言葉ではなく、体験として知っています。

その蓄積が「なんとなく」という直感になっている。


身体は、どんなシステムよりも正直です。 そしてその正直さを、丁寧に読み取る目と手が、100年後も必要とされ続ける—— そんな未来を、静かに想像しています。


身体の反応が、答えです。

── シリーズ完結 ──






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