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右で食いしばる人と、左で食いしばる人

8月22日
読了時間: 6分

身体の左右差から考える

食いしばりで顎に違和感を感じる女性

前回は、食いしばりを単なる「悪い癖」ではなく、

身体を守るために残っている防御反応ではないか

という視点から考えた。

食いしばっている顎だけを緩めても、

身体がそこを固める必要を感じていれば、また緊張は戻る。

今回は、その続きである。

実際に身体を見ていると、

右の咬筋だけが硬い。

左の側頭部だけが張っている。

片側の顎だけ動きにくい。

といった左右差は珍しくない。

では、

なぜ右なのか。なぜ左なのか。

今回は、この左右差を身体全体の代償という視点から考える。


食いしばりは、左右均等とは限らない

TMJ解剖図

人間の身体は完全な左右対称ではない。

利き手がある。

軸足がある。

噛みやすい側がある。

振り向きやすい方向もある。

過去に痛めた場所を無意識にかばっていることもある。

こうした左右差が長く続くと、

骨盤。

胸郭。

首。

顎。

まで、身体全体の使い方に偏りが残ることがある。

つまり、

食いしばりの左右差があるからといって、顎だけに原因があるとは限らない。


硬い側が「原因側」とは限らない

右の顎が硬いと、

「右側が悪い」

と考えたくなる。

しかし身体は、動きにくい場所を別の場所で補う。

例えば左の胸郭が十分に動かないと、右の首や顎を使って頭部を安定させることがある。

その結果、

右の首が張る。

右の側頭部が硬くなる。

右の顎を強く固定する。

ということも起こり得る。

この場合、

硬い右側は原因ではなく、代わりに働き続けている側かもしれない。

円命堂では、

「硬いところ=悪いところ」

とは考えない。


TMJ ジンクパターン

顎を見るなら、首と胸郭も見る


顎を強く固定するとき、働くのは咬筋や側頭筋だけではない。

頭を安定させるため、首や後頭部も一緒に働く。

さらに首の下には胸郭がある。

胸郭に左右差があれば、

首を使って呼吸を補う。

肩を持ち上げる。

頭の位置を変える。

といった代償が起こることがある。

そして、その緊張が顎まで続く。

だから円命堂では、

顎の左右差を見るとき、

首。

第一肋骨。

肩甲帯。

胸郭。

呼吸。

まで一緒に確認する。


呼吸にも左右差がある


左右の肋骨は、必ずしも同じように動いているわけではない。

右は広がる。

左は広がりにくい。

片側の下部肋骨だけ動かない。

このようなことは実際にある。

胸郭が片側だけ動きにくければ、身体は別の場所で呼吸を補う。

その結果、

首。

肩。

顎。

に余計な緊張が加わることがある。

食いしばりを顎だけの問題として見ない理由の一つである。


「右ならストレス、左なら力み」と決めつけない


当院では臨床上、右側の顎の緊張と心理的な緊張。

左側の顎の緊張と身体的な力み。

こうした傾向を感じるケースがある。

しかし、「右なら心理的ストレス、左なら身体的負荷」

と医学的に一律に分類できるわけではない。

左右差には、噛み方。姿勢。頸部の動き。

胸郭。呼吸。過去の外傷。仕事の動作。

睡眠姿勢。など、複数の要素が関わる。

だから左右差は、

原因を決めつけるための答えではない。

身体がどのように代償しているかを見るための手がかり

として考える。


左右差の検査

顎だけを緩めても戻る理由


片側の顎をほぐす。その場では柔らかくなる。

しかし数日すると、また同じ側が硬くなる。

この場合、身体がその側を再び使わなければならない理由が残っている可能性がある。


だから円命堂では、

硬い側を緩めることより、なぜそこが硬くならなければならないのかを見る。

前回の記事で書いた「防御反応」と、今回の左右差はここでつながる。

身体は、弱い場所や動きにくい場所を守るために、別の場所を固めることがある。

食いしばりの左右差も、その結果として現れている可能性がある。

前回記事:なぜ人は歯を食いしばるのか?|身体を守る防御反応から考える



円命堂では「左右差の理由」を見る


円命堂では食いしばりの左右差がある場合、

顎関節。側頭部。頭蓋底。

頸部。第一肋骨。胸郭。横隔膜。

呼吸。全身の動作。


こうした要素を必要に応じて確認する。

右が硬いから右を緩める。

左が硬いから左を緩める。

それだけでは終わらない。

なぜ右が働かなければならないのか。

なぜ左が動きにくいのか。

そこを見る。


次回|本人はストレスを感じていないのに、なぜ身体は緊張するのか


左右差を整えても、しばらくするとまた顎が硬くなる人がいる。

本人に聞いても、「特にストレスはありません」と言う。

しかし身体には、浅い呼吸。

抜けない肩の力。夜間の食いしばり。

朝の顎の硬さが残っている。

次回は、本人が感じているストレスと,

身体に残っている警戒反応は同じなのかという問題を考える。


医療機関・歯科への相談を優先した方がよいケース


歯が欠けている。歯が強く擦り減っている。口が開きにくい。

顎関節に強い痛みがある。噛み合わせが急に変わった。


こうした場合は、歯科・口腔外科での評価を優先する。

また、突然の激しい頭痛。手足の麻痺や動かしにくさ。

ろれつが回らない。意識状態の変化。

などがある場合は、食いしばりや首こりと自己判断せず、

速やかに医療機関を受診してほしい。

整体は医療機関で行う診断・治療の代替ではない。


食いしばりの左右差は、身体からの手がかりである


右の顎が硬い。左の側頭部が張る。いつも片側だけ食いしばる。

それを、「癖だから」だけで終わらせない。

身体は左右差を使いながら、全体のバランスを保っていることがある。

硬い側は、悪い側とは限らない。

別の場所を守るために、働き続けている側かもしれない。

だから円命堂では、

食いしばりの左右差を消すことだけを目的にしない。

なぜその左右差が必要なのかを見る。

食いしばりをなくすのではない。

食いしばらなくても大丈夫だと身体が判断できる条件を取り戻す。

これが、このシリーズを通して考えている基本である。


関連記事


前回|身体を守る防御反応から考えるhttps://www.enmeidoukurashiki.com/post/bruxism-body-defense-kurashiki


当院について


総合整体院 円命堂 倉敷店では、痛みや硬さがある場所だけを見るのではなく、身体全体のつながりから不調の背景を考えている。

食いしばりや顎の違和感についても、顎関節だけでなく、頭部・頸部・胸郭・横隔膜・呼吸・全身の動作まで含めて評価する。

倉敷市呼松を中心に、水島・玉島・児島・真備・早島・総社・岡山市・玉野市など岡山県内各地、また県外からの来院もある。


完全予約制。ご予約・お問合せ➤

総合整体院 円命堂 倉敷店Enmeidou Integrative Manual Therapy


※本記事は食いしばりや身体の左右差について一般的な情報と当院の臨床的な考え方を紹介するものであり、医学的診断を行うものではない。歯や顎関節の異常、強い痛み、急激な噛み合わせの変化などがある場合は歯科・口腔外科等の医療機関へ相談してほしい。

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