#04 画像診断が届かない、隠れた4つの経路 腹腔内圧軸
- 3月21日
- 読了時間: 3分

横隔膜と腰痛の関係
姿勢より深いところで起きていること
「姿勢に気をつけているのに腰痛が改善しない」
「体幹トレーニングをしているが腰の張りが取れない」
「深呼吸をするとなんとなく腰が楽になる気がする」
こういった方の身体を観察すると、横隔膜の動きが腰痛に深く関与していることがあります。
横隔膜は「呼吸の筋肉」だけではない

横隔膜は胸腔と腹腔を隔てるドーム状の筋肉で、呼吸のたびに上下に動きます。
しかし横隔膜の役割は呼吸だけではありません。
腹腔内圧(お腹の中の圧力)を調整する機能も担っています。
腹腔内圧は、腰椎を内側から支えるコルセットのような働きをしています。

横隔膜・骨盤底筋群・腹横筋・多裂筋が協調して機能することで、腰椎は安定を保ちます。
横隔膜の動きが低下すると、このコルセット機能が崩れ、腰椎への負荷パターンが変化することがあります。
猫背と横隔膜の関係
猫背・前傾姿勢が続くと、横隔膜が胸郭の中で潰された状態になります。
この状態では横隔膜が十分に収縮・弛緩できなくなり、呼吸が浅くなります。
呼吸が浅くなると横隔膜の上下運動の幅が小さくなり、
腹腔内圧の調整機能がさらに低下するという悪循環が起きることがあります。
ただしここで重要なのは、姿勢が悪いから横隔膜が動かないという単純な話ではないということです。
胸郭の内側にある内臓組織の状態が、横隔膜の動きに直接影響します。
例えば、心膜や肺の周囲の組織が硬化していると、肋骨の内側から横隔膜の動きが制限されます。胸郭の外側をいくら整えても、内側の組織の状態が変わらなければ横隔膜の動きは回復しにくいことがあります。
腸管膜テンションと腰椎

横隔膜の機能が低下すると、腹腔内圧が不安定になります。
腸管膜は小腸・大腸などをお腹の中に固定している膜ですが、腹腔内圧が不安定な状態では、この腸管膜にかかるテンションが本来とは異なる方向にかかり続けることがあります。
腸管膜は腰椎の前面(後腹膜)に付着しており、腸管膜のテンション変化は腰椎の前弯や骨盤の傾きのパターンに影響を与えることがあります。
体幹を鍛えても腰痛が改善しないという場合、腹腔内圧の調整機能そのものが低下していて、筋力の問題というより内側の機能的な問題が先にある、ということが起きていることがあります。
ツルゴール効果の乱れ

もう一つ、この軸で重要な概念があります。
漿膜(内臓を包む薄い膜)と漿液(その膜の間にある粘性の液体)は、腹腔・胸腔内で内臓を陰圧で固定する機能を持っています。
この機能をツルゴール効果と呼びます。
※内臓を陰圧で保持する機能(漿膜のツルゴール効果)
横隔膜の機能低下や肋骨の運動異常が続くと、胸腔・腹腔内の圧力バランスが崩れ、このツルゴール効果が乱れることがあります。
内臓が本来の位置から少しずつずれると、胸郭・骨盤の運動パターン全体に影響が及び、腰椎や骨盤帯への慢性的な負荷として現れることがあります。
深呼吸をすると楽になる感覚の意味

「深呼吸をするとなんとなく腰が楽になる気がする」という感覚は、横隔膜が動くことで腹腔内圧が一時的に整い、腰椎への支持が改善されるためかもしれません。
これは横隔膜の機能低下が腰痛に関与しているサインの一つである可能性があります。
当院では、横隔膜の動きの左右差・胸郭内の内臓組織の状態・腸管膜のテンションを観察しながら、腹腔内圧の軸から腰痛にアプローチすることがあります。
姿勢を正すことや体幹を鍛えることは大切です。
ただ、その前提として内側の機能が整っていることが、改善が続くかどうかに関わっていることがあります。
身体の反応が、答えです。
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