夏になると、なぜ身体は重くなるのか
- 7月18日
- 読了時間: 13分
― 倉敷の暑さと、だるさの奥にある「静脈還流」の問題 ―

夏になると、身体が重くなる。
朝からだるい。
寝ても疲れが取れない。
脚がむくむ。
頭がぼんやりする。
冷たい物を取ると胃が重くなる。
肩や背中が張り、呼吸まで浅くなる。
こうした状態は、一般に「夏バテ」や「自律神経の乱れ」と呼ばれる。
しかし、それだけでは身体の中で何が起きているのかが見えてこない。
夏のだるさを考えるうえで、見落としてはならないものがある。
静脈還流である。
夏のだるさは、血液を「送り出す力」だけでは説明できない
心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身の組織へ届く。組織へ酸素や栄養素を渡した血液は、二酸化炭素や代謝によって生じた物質を受け取り、静脈を通って心臓へ戻る。
人間の循環は、血液を送り出すだけでは成立しない。末端まで届いた血液が、再び心臓へ戻ってくることによって初めて一周する。
ところが、静脈の中を流れる血液には、動脈ほど高い圧力がかかっていない。特に脚の静脈血は、重力に逆らって心臓まで戻らなければならない。そのため、身体には静脈血を戻すための複数の補助装置が備わっている。

• 下腿三頭筋を中心とした筋ポンプ
• 血液の逆流を防ぐ静脈弁
• 横隔膜による呼吸ポンプ
• 歩行に伴う足首と足底の運動
• 胸部と腹部の圧力差
• 心臓の吸引・拍出作用
これらが連携することで、血液は身体の末端から中心へ戻っている。夏に身体がだるくなる背景には、この「戻す力」が十分に働いていない状態が隠れていることがある。
倉敷の夏は、身体にとって厳しい環境である

岡山の7月は、平年でも日最高気温の平均が31.8℃、平均湿度が74%に達する(気象庁平年値)。しかし近年は、平年値だけでは語りきれない暑さが続いている。2025年の夏には、岡山県内でも高梁市で40.4℃、真庭市久世で40.3℃と、40℃を超える日最高気温が観測された。倉敷、水島、児島、玉島、真備、早島周辺の平野部でも、連日の猛暑日と、夜間も気温が下がりきらない熱帯夜が続いた。
気温だけでなく湿度も高いため、汗が蒸発しにくく、身体に熱がこもりやすい。
身体は熱を逃がすために、皮膚の血管を広げる。皮膚側を流れる血液が増え、発汗量も増える。汗によって水分が失われれば、身体を循環する血液量も保ちにくくなる。
つまり夏の身体では、次の変化が同時に起きやすい。
• 皮膚の血管が広がる
• 末梢に血液が分布しやすくなる
• 発汗によって水分が失われる
• 心臓へ戻る血液量を保つ負担が増える
• 循環を維持するために心拍数が上がる
• 身体を動かす余力が減る
健康でよく動く人であれば、筋ポンプや呼吸ポンプがこの変化を補う。しかし、歩く量が少ない人、ふくらはぎが弱い人、足首が硬い人、呼吸が浅い人では、静脈血を戻す補助機構が働きにくい。その結果として、脚の重さ、むくみ、頭重感、立ちくらみ、全身のだるさなどが現れやすくなる。
冷房は必要である。しかし温度差も身体に仕事をさせる

倉敷周辺では、通勤や買い物、通院などの日常移動に車を使う人が多い。暑い屋外から冷房の効いた車内へ入る。車から降りて再び暑い場所を歩く。そして、冷房の効いた店舗や職場へ入る。
身体はそのたびに、皮膚血流、発汗、心拍、血管の収縮と拡張を調整する。
冷房そのものが悪いのではない。熱中症を防ぐためには、適切に冷房を使用する必要がある。問題は、屋外と室内の大きな温度差を何度も往復し、身体が循環調整を続けることである。
外では血管を広げて熱を逃がし、室内では体温を守るために血管を調整する。この切り替えが一日に何度も繰り返されれば、何もしていないように見えても、身体の内側では仕事が続く。
夏のだるさは、単に暑さに負けている状態ではない。暑さと冷房の間で、身体が適応を続けた結果でもある。
ふくらはぎが動かなければ、静脈血は戻りにくい
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれる。ただし、ふくらはぎに筋肉があれば、それだけでポンプが働くわけではない。
歩くたびに足首が動き、下腿三頭筋が収縮と弛緩を繰り返す。その力で深部の静脈が圧迫され、静脈弁が逆流を防ぐことで、血液が心臓方向へ押し上げられる。これが下腿の筋ポンプである。

ところが夏は、暑さを避けるために活動量が落ちやすい。外を歩かなくなる。車での移動が増える。冷房の効いた部屋で長く座る。休日は横になって過ごす。暑いため運動を控える。
身体を休めているつもりでも、ふくらはぎのポンプは動かなくなる。特に、次のような人は注意が必要である。
• デスクワークで長時間座っている
• 立ち仕事で同じ場所に立ち続けている
• 歩幅が小さい
• 足首が硬い
• 踵が十分に上下しない
• ふくらはぎの筋力が弱い
• 脚がむくみやすい
• 運動不足が続いている
• 車での移動が多い
座ったまま足首を少し動かすだけでは、歩行時と同じポンプ作用にはならない。股関節、膝、足首、足底までが連動し、体重が移動することで、下肢全体の静脈還流が促される。
横隔膜も、静脈血を戻すポンプである
静脈血を心臓へ戻すもう一つの重要な装置が、横隔膜である。
横隔膜は、単なる呼吸の筋肉ではない(参考:「横隔膜が硬い」の、その奥で起きていること)。

ところが、次のような状態では横隔膜の動きが小さくなる。
ところが、次のような状態では横隔膜の動きが小さくなる。
• 猫背でみぞおちが潰れている
• 肋骨が広がらない
• 胸だけで呼吸している
• 腹部が張っている
• 胃が重い
• 長時間座っている
• 緊張によって息を止めている
• 肩を持ち上げて呼吸している
呼吸は止まっていなくても、横隔膜が十分に上下していなければ、静脈還流を補助する圧力変化も小さくなる。
さらに、横隔膜が動きにくくなると、首や肩の筋肉が呼吸を補い始める。そのため、夏のだるさに首こり、肩こり、背中の張り、頭重感が加わることがある。
複数の場所が別々に悪くなったのではない。循環と呼吸の問題が、離れた場所へ同時に現れている可能性がある。
冷たい飲み物や食べ物が増えると、腹部はどう変わるのか

夏は、冷たい飲み物、アイスクリーム、冷やした麺類などを取る機会が増える。冷たい物を口にしただけで、内臓全体が長時間冷え続けたり、腹部の静脈が完全に止まったりするわけではない。身体には深部体温を一定に保つ仕組みがある。
しかし、冷たい物を大量に取ったあとに、胃の重さ、腹部膨満、食欲低下、下痢などが現れる人はいる。
腹部が張れば、横隔膜は下方へ動きにくくなる。胃や腸の周囲が緊張し、腹壁が固まれば、呼吸に伴う腹腔内圧の変化も小さくなる。その結果、呼吸ポンプが十分に働かなくなる可能性がある。
また、胃、腸、肝臓、脾臓などが存在する腹部には、多くの血液を一時的に保持できる大きな血管床がある。食事、姿勢、呼吸、自律神経の働きによって、腹部の血液分布は変化する。
夏のだるさは、「冷たい物が内臓を冷やすから」という一つの理由だけで起きるのではない。冷たい物に偏った食生活、胃腸の不調、腹部膨満、浅い呼吸、横隔膜の動きの低下、活動量の低下が重なり、腹部から胸部へ血液を戻す仕組みが弱くなることが問題なのである。
静脈の流れが低下すると、なぜ身体が重くなるのか

身体の組織では、絶えず代謝が行われている。細胞へ酸素と栄養素を届けた血液は、二酸化炭素や代謝によって生じた物質を受け取り、静脈系やリンパ系を介して回収する。循環が低下すれば、組織への酸素供給だけでなく、代謝産物を回収する効率にも影響が出る。
このとき、身体には次のような感覚が現れることがある。
• 脚が重い
• 筋肉が張る
• 身体を動かし始めるまで時間がかかる
• 頭がぼんやりする
• 集中力が続かない
• 横になっても回復した感じがしない
ただし、だるさのすべてを「老廃物がたまったから」と説明することはできない。疲労には、睡眠不足、脱水、貧血、感染症、甲状腺機能、心臓・腎臓・肝臓の問題、薬の副作用、精神的負担など、多くの原因がある。そのうえで、循環の低下が、だるさを長引かせる一つの土台になる。
サイトカインと「動きたくない」という感覚
炎症が起きたとき、身体ではサイトカインと呼ばれる情報伝達物質が産生される。サイトカインの一部は中枢神経系へ作用し、活動を抑え、身体に休息を求めさせる反応に関与する。
風邪や感染症のときに、身体が重くなり、眠くなり、動きたくなくなる。これは単に筋肉が疲れているのではなく、身体を守るために脳が活動量を落としている反応でもある。
慢性的な炎症、睡眠不足、暑さによる身体的負担などが重なれば、疲労感が強くなる可能性がある。ただし、サイトカインが静脈内に詰まるから夏バテになる、という意味ではない。暑さ、脱水、循環負担、胃腸の不調、睡眠不足、炎症性反応などが複雑に重なり、脳が身体活動を抑える方向へ傾いた結果として、だるさが現れるのである。
「水を飲めば大丈夫」ではない

夏のだるさに対して、「水分を取ればよい」と考える人は多い。もちろん、水分補給は重要である。
しかし、水分を取っていても、それを全身へ循環させ、末端から心臓へ戻す仕組みが働かなければ、身体の重さが抜けないことがある。
必要なのは、水分だけではない。
• 血液を戻すふくらはぎ
• 動く足首
• 広がる肋骨
• 上下する横隔膜
• 変化できる腹腔内圧
• 固めずに支えられる体幹
• 実際の歩行
水分、循環、呼吸、運動は、別々の対策ではない。一つの身体を回復させるための連続した仕組みである。
円命堂では、夏のだるさをどのように見るのか

夏のだるさがあるからといって、首だけを揉む。むくんでいるから、脚だけを流す。呼吸が浅いから、横隔膜だけを緩める。それだけでは不十分である。
静脈還流は、全身の共同作業だからである。
倉敷市呼松の総合整体院 円命堂では、夏のだるさに対して、次の点を全身のつながりから評価する。
足首とふくらはぎの筋ポンプ
足首が十分に動くか。踵を上げる力があるか。歩行時に下腿三頭筋が収縮しているか。膝や股関節が、足首の動きを妨げていないか。単純な筋力だけではなく、実際の立位や歩行の中で筋ポンプが使われているかを確認する。
横隔膜と肋骨の呼吸ポンプ
下位肋骨が左右へ広がるか。みぞおちが固まっていないか。息を吸うたびに肩だけが上がっていないか。胸郭と腹部の間に自然な圧力変化が起きているか。呼吸の深さだけではなく、その呼吸が循環を助ける動きになっているかを見る。
腹部の緊張と内臓周囲の滑走性
腹部が過度に張っていないか。手術や炎症の既往がないか。胃腸の不調と、肋骨、腰、骨盤の緊張が連動していないか。内臓の病気を整体で治療するのではない。内臓周囲の膜、腹壁、肋骨、横隔膜の動きが、呼吸や身体運動を妨げていないかを評価する。
体幹を支える圧の変化
腹圧が弱すぎないか。反対に、息を止めて固め続けていないか。座位で腹部が潰れ、横隔膜の動きが失われていないか。体幹の圧は、高ければよいものではない。呼吸や動作に合わせて変化できることが重要である。
日常生活でポンプを使えているか

施術によって一時的に身体が動きやすくなっても、日常生活で筋ポンプと呼吸ポンプを使わなければ、身体は元の状態へ戻りやすい。そのため円命堂では、FMTによる動作再教育を行う。足首、ふくらはぎ、股関節、体幹、横隔膜、歩行をつなぎ直し、自分の動作によって静脈還流を保てる身体を目指す。
円命堂の施術は「老廃物を流す」だけではない
施術者が、老廃物やサイトカインを手技で排出するだけでは終わらせない。
当院ができるのは、身体が本来持っている循環の補助機構を妨げている要素を見つけることである。
• 動かない足首
• 使われていないふくらはぎ
• 固まった胸郭
• 動きの小さい横隔膜
• 緊張した腹壁
• 滑走性を失った組織
• 息を止めて身体を支える癖
• 長時間座り続ける生活
• 身体の一部へ集中した負担
これらを全身のつながりから評価し、無痛ソフト整体、必要に応じた内臓・頭蓋・リンパへの穏やかな施術、FMTによる動作再教育を組み合わせる。
目的は、施術で一時的に何かを流すことではない。呼吸と歩行によって、自分の身体が循環を保てる状態へ戻すことである。
夏のだるさを軽くするために、自宅でできること
強い運動を始める必要はない。まずは、止まっているポンプを少しずつ使う。
一時間に一度は立って歩く
長時間座る場合は、一時間に一度を目安に立ち上がり、短時間でも歩く。足首だけを動かすより、体重を脚へ乗せ、実際に数歩歩く方が、下肢全体の筋ポンプを使いやすい。
踵を上げ下げする
壁や椅子へ手を添え、ゆっくり踵を上げ下げする。回数を増やすことより、足指へ体重を移し、ふくらはぎが収縮していることを感じる方が重要である。痛みや強いふらつきがある場合は行わない。
息を吸う前に、静かに吐く
無理に大きく吸おうとすると、肩や首に力が入りやすい。まず、息を細く静かに吐く。吐いたあとに自然に入ってくる呼吸を待つ。肋骨の下部や背中まで呼吸が広がることを確認する。
冷たい物だけで食事を終わらせない
冷たい物を完全に避ける必要はない。ただし、胃の重さや腹部膨満が出る人は、冷たい飲食物を一度に大量に取らず、温かい料理も組み合わせる。
冷房を我慢しない
熱中症を防ぐため、冷房は適切に使用する。冷房の使用をやめるのではなく、風を身体へ直接当て続けない、室内外の移動時に衣服で調整するなど、急激な環境変化を減らすことが重要である。
夏バテだと思い込んではいけない症状

夏の強いだるさは、熱中症の症状として現れることがある。暑い場所にいたあとに、次の症状が出た場合は、単なる夏バテと判断してはならない。
• 強い頭痛
• 吐き気、嘔吐
• めまい、立ちくらみ
• 筋肉のけいれん
• 大量の発汗、または汗が出なくなる
• 強い脱力
• 集中力や判断力の低下
• 反応がおかしい
• 自力で水分を取れない
涼しい場所へ移動して身体を冷やし、水分を取る。症状が改善しない、自力で水が飲めない、意識がはっきりしない場合は、速やかな医療機関への受診や救急要請が必要である。
また、次の症状がある場合も、整体より医療機関を優先する。
• 片脚だけが急に腫れた
• 片脚に強い痛み、熱感、赤みがある
• 突然の胸痛や息苦しさがある
• 脈が極端に速い、または不規則である
• 黒い便や血便が出る
• 突然の激しい頭痛がある
• 片側の手足が動かしにくい
• ろれつが回らない
• 発熱や体重減少を伴う強い倦怠感が続く
静脈血栓症、心臓疾患、感染症、貧血、内分泌疾患などが隠れている可能性があるためである。
倉敷・水島周辺で、夏のだるさが抜けない人へ
夏に身体がだるくなるのは、根性や年齢だけの問題ではない。
暑さによって皮膚側へ移動する血液。
発汗による水分量の変化。
動かなくなったふくらはぎ。
硬くなった足首。
浅くなった呼吸。
動きの小さい横隔膜。
張った腹部。
不足する睡眠。
これらが重なれば、静脈血を心臓へ戻す仕組みは弱くなる。
身体が重いという感覚は、「もっと頑張れ」という合図ではない。身体が循環を維持するために、余分な仕事を続けているという知らせかもしれない。
総合整体院 円命堂 倉敷店は、倉敷市呼松にある完全予約制の整体院である。
水島地区から近く、児島、玉島、真備、早島、総社、玉野、岡山市方面からも来院がある。
当院では、だるさが出ている場所だけを施術するのではない。足首とふくらはぎの筋ポンプ、横隔膜による呼吸ポンプ、肋骨と腹部の動き、体幹の圧、歩行までを一つのつながりとして評価する。
病院の検査で異常がない。
水分を取っても身体が重い。
休んでも疲れが抜けない。
脚のむくみと肩こりが同時に起きる。
胃が重くなると、呼吸まで浅くなる。
このような状態が続く場合、身体の「戻す力」が十分に働いているかを確認する価値がある。
身体は、血液を送り出す力だけで支えられているのではない。末端まで届いたものが、再び中心へ戻る。その流れがあって、初めて身体は回復へ向かうのである。
店舗情報
総合整体院 円命堂 倉敷店
岡山県倉敷市呼松1丁目11-16
営業時間:9:00~20:00
土日祝営業・不定休
完全予約制・専用駐車場あり
倉敷市、水島、児島、玉島、真備、早島、総社、玉野、岡山市および県外からの相談に対応している。
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