
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症でよくある“体感”の特徴
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歩くと脚がしびれる/痛むが、休むと回復する(間欠性跛行)
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立っているとつらいが、前かがみや座位で楽
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腰の痛みよりも、お尻〜脚のしびれ・だるさが前に出る
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「歩ける距離」が日によって変わる
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ふくらはぎが張って、脚が重くなる
この症状は「腰だけの問題」と決めつけるより、神経が負担を受けやすい“条件”が積み重なっていると捉えるほうが整理しやすいケースがあります。
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脊柱管狭窄症(腰部)
歩くと脚が痺れ・休むと楽に
その背景を整理します
「歩いていると脚がしびれてくる」
「少し休むと楽になる(また歩ける)」
「長く立っていられない/前かがみだと楽」
このような特徴があるとき、腰部脊柱管狭窄症が疑われることがあります。
ただし、ここで最も重要なのは
整体でどうにかする前に、“医療的に先に確認すべき状態”がないかを整理することです。
当院では、まず安全性(受診優先の目安)と鑑別の要点を明確にし、必要な方には受診をおすすめします。
そのうえで、受けられる状態の方には 「悪化へ向かう工程」→「回復へ向かう工程」へ、改善の順序をご提案します。
まず最優先:受診を急ぐべきサイン
(医療トリアージ)
次の項目に当てはまる場合は、
整体より先に医療機関へご相談ください。
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排尿・排便がうまくいかない/失禁がある(尿意切迫・残尿感を含む)
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会陰部(股の間)がしびれる
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急に脚の力が入らない/足が持ち上がらない(下垂足など)
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安静にしていても強い痛みが続く、夜間痛が強い
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発熱・原因不明の体重減少・がん治療歴などがあり症状が進む
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転倒や事故後から急に悪化した
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何をしても楽にならない(24時間ずっと強い痛み・灼熱感が続く)
※上記は一般的な目安です。迷う場合は、まず医療機関へご相談ください。
※当院でも初回で安全性を確認し、必要に応じて受診優先でご案内します。
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間欠性跛行とは?
(狭窄症に特徴的な症状)
間欠性跛行とは、しばらく歩くと痛みやしびれが出て歩けなくなるが、数分休むとまた歩ける症状のことです。
前かがみや、しゃがみ込む姿勢で楽になる場合、神経の負担が一時的に下がっている可能性があります。
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間欠性跛行は
「神経性」と「血管性」がある
(見落とし防止)
似た症状でも、原因が違うと対応が変わる
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神経性間欠跛行:脊柱管を通る神経(または脊髄に関連する血流)が負担を受け、歩行で痛み・しびれが出やすい。前屈位で楽になりやすい。
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血管性間欠跛行:動脈硬化などで血流が不足し、歩行で筋肉が酸欠状態になって症状が出やすい。休むだけで改善しやすい。
神経性でも「うっ血(静脈の流れ)」が関与することがあります
脊柱管の狭窄は、「神経が圧迫される」だけでなく、脊柱管内の循環にも影響します。
とくに、神経を覆う硬膜の周辺には静脈が走っており、狭窄や圧迫が起こると 静脈側のうっ滞(うっ血) が起こりやすいと考えられています。
硬膜を貫通するように走行する静脈は形状的に蛇行しやすく、流れが滞りやすいことがあります。
そのため、歩行で症状が出る/休むと回復するという経過に、静脈のうっ滞が関与する可能性も含めて整理します。
※当院は診断を行いません。不安が強い場合は医療機関での確認を優先してください。
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また、前傾姿勢になりやすい自転車でも同様に症状が出る場合は、血管性の可能性も含めて医療機関での確認をおすすめします。
しびれには種類がある
(運動の麻痺/感覚の麻痺)
しびれは大きく分けて、
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力が入りにくくなる 運動の麻痺(筋力低下)
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正座後のような 感覚の麻痺(ジンジン)
があります。
特に、**ある日突然の筋力低下(下垂足など)**は受診優先です。
脊柱管狭窄症のしびれ:
馬尾神経障害と神経根障害
脊柱管狭窄症のしびれには、馬尾神経障害(重いタイプ)と、神経根障害(局所タイプ)があります。
馬尾神経障害(より注意が必要)
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膀胱直腸障害(尿意切迫・残尿感・失禁など)
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会陰部のしびれ
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両下肢・殿部の広範な異常感覚
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反射低下(例:アキレス腱反射)
※痛みよりも異常感覚を強く訴えることがあります。
→ 膀胱直腸障害が疑われる場合は病院受診を優先します。
神経根障害
(徒手療法が検討しやすいことがある)
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片側の殿部〜下肢の痛みが主になりやすい
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膀胱直腸障害・性機能は通常保たれやすい
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姿勢(腰椎伸展など)で影響が出やすい
→ 状態次第で、負担条件を整える目的で整体が役立つことがあります。
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脊柱管狭窄症と
椎間板ヘルニアの違い(重要)
どちらも脚の痛み・しびれを起こしますが、背景が異なります。
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脊柱管狭窄症:加齢変化などで脊柱管が狭くなり、神経や血流に負担がかかりやすい
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椎間板ヘルニア:椎間板の内容物(髄核)が突出し、主に神経根を圧迫して症状が出やすい
似た症状でも、「どの姿勢・どの動作で増悪するか」を整理することが、改善の順序を組み立てる近道になります。
図:脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアの違い(比較図)
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ヘルニア・すべり症が
「狭窄」を強めることも(重要)
既往に椎間板ヘルニアやすべり症があっても、腰部脊柱管狭窄症と診断されることは少なくありません。
実際、ヘルニアとすべり症はいずれも、脊柱管(神経の通り道)や椎間孔(神経の出口)を狭め、神経に負担がかかる条件を強める要因になり得ます。
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ヘルニアが後方に起これば、馬尾症状(広範なしびれ、排尿排便の異常など)に関与する可能性があります。
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すべり症でも、馬尾の圧迫や左右の椎間孔が狭くなることで、両側のしびれ・だるさが出るケースがあります。
そのため当院では、「狭窄症か/ヘルニアか/すべり症か」と単独で決めつけるより、どの姿勢・どの動作で負担が増えるかを整理し、悪化へ向かう工程をほどいて回復へ向かう工程を作ることを重視します。
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※排尿排便の異常・会陰部のしびれ・急な筋力低下などがある場合は、整体より先に医療機関での確認を優先してください。
なぜ改善しにくいのか:
ポイントは“原因”ではなく
「負担が増える条件」
脊柱管狭窄症は、画像所見(MRIなど)と症状の強さが一致しないこともあります。
そのため「画像を見た=答えが確定」ではなく、
実際には次のような条件が重なることで、神経への負担が増えやすくなります。
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呼吸が浅く、体幹が固まっている
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股関節が硬く、歩行時の衝撃が腰に集まる
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骨盤〜胸郭の連動が崩れ、腰が“代償”している
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お尻・太ももの緊張が強く、神経周囲の滑走が悪い
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疲労・睡眠不足・ストレスで回復が追いつかない
当院が見ているのは、“狭い/広い”だけではなく、負担が増える順序と、減らす順序です。
黄色靭帯肥厚とは
(加齢変化の代表例)
腰部脊柱管狭窄症では、加齢に伴う退行性変化として、椎間関節や黄色靭帯の変化が関わることがあります。
椎間板の水分が減って不安定性が増すと、それを補うように周辺組織の負担が増え、結果として肥厚が進むことがあると考えられています。
また、炎症や関節変性が影響する場合もあります。
※保存的な対応で症状が改善しない場合や、明らかな麻痺が進行する場合は、手術が検討されることもあります。
※当院は診断を行いません。必要な場合は医療機関の受診を優先します。
構造的要因と非構造的要因
当院が扱うのは
「後者=負担条件の調整」です
脊柱管狭窄症には、大きく分けて次の2つが重なります。
構造的要因
ヘルニア、すべり症、圧迫骨折など椎体側の変化、黄色靭帯の肥厚、骨棘など。
この場合は、徒手療法だけで“形そのもの”を変えることは難しい領域です。
非構造的要因(例)
姿勢・動作の偏り(腰椎の過度な伸展を含む)、血流低下、股関節の可動性低下、体幹戦略の崩れ等。
この場合は、筋・関節・呼吸・歩行といった機能面の負担条件を調整できる余地があり、徒手療法が関わりやすい領域です。
当院は「狭窄を押し戻す」のではなく、神経に負担を増やす条件を減らし、回復へ向かう条件を作ることを目的にします。
歩行で悪化する方は
「スウェイバック姿勢」で腰椎伸展が増幅
歩行中に症状が出やすい方では、脊柱管が狭い/広いだけでなく、歩行の中で腰椎伸展が増えてしまう「条件」が関係することがあります。
その代表が、胸郭が後方へ、骨盤が前方へ変位する スウェイバック姿勢 です。
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スウェイバックで歩行すると、以下の局面で腰椎伸展が増強されやすいと考えられます。
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